
名義預金は相続税の対象?税務調査で見られる3つの基準と対策【2026年】
名義預金は相続税の対象?税務調査で見られる3つの基準と対策【2026年】
「子や孫の名義で通帳を作り、こつこつ積み立ててきた」「亡くなった夫の相続で、妻名義の口座も調べられると聞いて不安になった」——奈良県内の相続のご相談で、家族名義の預金の扱いはとてもよく話題になります。
口座の名義が家族であっても、実質的に亡くなった方(被相続人)のお金と判断されれば、その預金は名義預金として相続税の課税対象に含まれるとされています。名義預金は相続税の税務調査で指摘されやすい代表的な項目ともいわれており、「知らなかった」では済まないのが難しいところです。
この記事では、名義預金かどうかが何で判断されるのか、税務調査で見られる3つの基準と、今からできる対策を、2026年現在の情報をもとにご説明いたします。
結論|「名義が誰か」では決まらない
名義預金とは、口座の名義人と、実際にお金を出した人・口座を管理していた人が異なる預金のことです。相続税の世界では、財産が誰のものかは名義ではなく実質で判断されるとされており、たとえば夫の収入から積み立てた妻名義・子名義の口座は、夫の相続財産として申告が求められる場合があります。
名義預金が相続財産に加わると、遺産の総額が変わるため、相続税がかかるかどうかの判定にも影響します。基礎控除の考え方は「相続税はいくらからかかる?基礎控除の仕組みと奈良で課税される目安」の記事でご説明しています。
税務調査で見られる3つの基準
税務調査で名義預金かどうかが問題になるとき、着目されるポイントは大きく3つに整理できます。
| 基準 | 見られるポイント | 名義預金と指摘されやすい例 |
|---|---|---|
| 資金の出どころ | 誰の収入・財産から入金されたか | 被相続人の口座の出金と同じ日に同額が入金されている |
| 管理・支配 | 通帳・印鑑・カードを誰が持っていたか | 名義人が口座の存在を知らない |
| 贈与の成立 | あげた・もらったの合意と記録があるか | 贈与契約書も贈与税の申告もない |
基準1: 資金の出どころ
そのお金がもともと誰の収入・財産だったかという点です。税務署は、被相続人の口座の出金記録と家族名義口座の入金記録を突き合わせて資金の流れを確認するとされており、出金と同日・同額の入金は把握されやすい典型例です。名義人自身の収入では説明がつかない残高も、確認の対象になりやすいとされています。
基準2: 管理・支配
通帳・印鑑・キャッシュカードを誰が保管し、入出金や住所変更などの手続きを誰が行っていたか、という点です。名義人がその口座を自由に使える状態になかった場合、実質的な管理者は被相続人だったと見られやすくなります。
基準3: 贈与が成立していたか
贈与は「あげます」「もらいます」という双方の合意で成立する契約とされています。合意を示す贈与契約書があるか、基礎控除(年110万円)を超える年に贈与税の申告をしていたか、もらった側が自分の口座として実際に使っていたか、といった事実の積み重ねが確認されます。合意のないまま親が一方的に積み立てていた口座は、贈与ではなく名義預金と判断されやすくなります。
名義預金と指摘されないための4つの対策
- 贈与のたびに贈与契約書を作る(日付・金額・双方の署名を残す)
- 通帳・印鑑・キャッシュカードは名義人本人が管理し、実際に使う
- 年110万円の基礎控除を超える贈与は、贈与税の申告をきちんと行う
- 生前贈与加算を踏まえて贈与の時期を計画する
1〜3は、いずれも「贈与が本当に成立していたこと」を後から示せるようにするための記録づくりです。振込で贈与すれば通帳に日付と金額が残るため、現金の手渡しより記録の面で有利とされています。また、もらった側がその口座から生活費や趣味の支出をしていれば、自分の財産として使っていた事実の裏付けになります。逆に、相続が近づいてから慌てて通帳を動かすと、かえって不自然な記録が残ってしまうため、思い立った今の時点から整えるのが得策です。
4つ目について補足します。令和6年(2024年)からの改正で、亡くなる前の贈与を相続財産に足し戻す期間は、3年から7年へ段階的に延長されています。2026年現在に相続が開始した場合の加算対象は2024年1月1日以降の贈与に限られ、7年分がまるまる加算されるのは2031年1月以降に開始した相続からとされています(延長された4年分の贈与は合計100万円まで加算対象から控除されます)。制度の詳細は「生前贈与加算が7年に延長|令和6年改正の影響と相続対策のポイント【2026年】」の記事をご覧ください。
注意したいのは、名義預金はそもそも贈与が成立していないため、この加算期間の話とは別に、何年前の預け入れであってもとして全額が課税対象になるとされている点です。「7年より前だから関係ない」とはならないことを押さえておきましょう。


