
自筆証書遺言と公正証書遺言の違い|法務局保管制度でどちらを選ぶ?【2026年】
自筆証書遺言と公正証書遺言の違い|法務局保管制度でどちらを選ぶ?【2026年】
「遺言書を作ろうと決めたものの、自分で書くべきか、公証役場で作るべきか分からない」——奈良市や生駒市、橿原市など奈良県内のご相談でも、最初に迷われるのがこの点です。
遺言書には大きく分けて、自分で全文を書く自筆証書遺言と、公証人が作成する公正証書遺言があります。さらに2020年からは、自筆の遺言書を法務局が預かる保管制度が始まり、自筆証書遺言の弱点だった紛失や検認の負担が一部解消されました。2025年10月には公正証書の手数料改定とオンライン化も行われ、選び方の前提が変わりつつあります。
私たち横山千夏税理士事務所では、遺言書の作成サポートを通じて、相続税まで見据えた生前対策のお手伝いをしています。この記事では、2つの遺言の違いと、どんな方がどちらを選ぶとよいかを2026年時点の制度に基づいて整理します。
自筆証書遺言と公正証書遺言はどう違う?
まずは3つの方式を比べてみましょう。
| 項目 | 自筆証書遺言(自宅保管) | 自筆証書遺言(法務局保管) | 公正証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 作成する人 | 本人が全文を自書 | 本人が全文を自書 | 公証人が作成 |
| 費用の目安 | かからない | 保管申請1件3,900円 | 財産額に応じた公証人手数料+遺言加算 |
| 証人 | 不要 | 不要 | 2人が要る |
| 家庭裁判所の検認 | 要る | 不要 | 不要 |
| 形式不備・紛失のリスク | 高い | 形式面は窓口で外形チェック | 低い |
自筆証書遺言の特徴
紙とペンと印鑑があれば作成でき、費用を抑えられるのが利点です。2019年の法改正以降、財産目録の部分はパソコンで作成した書面や通帳のコピーの添付が認められています。一方、自宅保管では紛失・改ざん・発見されないリスクがあり、相続開始後に家庭裁判所の検認という手続きが要ります。また、形式の不備で遺言全体が無効になる例も少なくありません。
法務局の保管制度を使うと何が変わるか
2026年現在、自筆証書遺言書保管制度を使うと、法務局(遺言書保管所)が原本と画像データを預かり、相続開始後の検認が不要になります。申請手数料は1通3,900円とされています。あらかじめ指定した方へ、亡くなった後に保管の事実を通知する仕組みもあります。
ただし注意したいのは、法務局の窓口で確認されるのは日付や署名押印といった外形的な形式のみで、内容の有効性までは審査されないことです。「誰にどの財産を渡すか」の書き方があいまいだと、保管されていても遺産分割の場面でもめる余地が残ります。
手続きの流れは、①遺言書を自書で作成、②保管を申請する法務局(住所地・本籍地・不動産所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所)を選んで予約、③本人が窓口へ出向いて申請し保管証を受け取る、という3ステップです。代理人による申請は認められておらず、本人が出向く必要がある点は押さえておきましょう。
公正証書遺言の特徴
公証人が本人の意思を確認しながら作成するため、形式不備で無効になるリスクが低く、判断能力への疑義にも備えやすい方式です。原本は公証役場に保管され、検認も不要です。
費用は財産額に応じた公証人手数料に加え、2025年10月の手数料改定により、財産1億円以下の場合の遺言加算は13,000円とされています。また同時に手続きのデジタル化が始まり、一定の場合にはウェブ会議を利用した作成も可能になりました。公正証書遺言の費用の詳細は「公正証書遺言の費用はいくら?手数料早見表と作り方の流れ・必要書類」で早見表つきで解説しています。
どちらを選ぶ?ケース別の考え方
自筆証書遺言(+保管制度)が向いている方
- 財産の内容が比較的シンプルで、渡す相手も明確な方
- まず費用を抑えて遺言を用意し、後から公正証書に切り替えることも視野に入れたい方
保管制度を使えば紛失と検認の問題は解消できるため、「とにかく早く1通作っておきたい」という場面では有力な選択肢です。実際、当事務所でも「まず自筆+保管制度で作成し、財産の整理が進んだ段階で公正証書に作り直す」という2段階の進め方をご提案することがあります。
なお、制度の手数料や運用は改正される可能性がありますので、申請の際は法務省・法務局の最新情報をご確認ください。
公正証書遺言が向いている方
- 不動産や事業用資産など財産の種類が多い方
- 相続人どうしの関係に不安があり、有効性を争われたくない方
- 高齢や病気で自書が難しい方、ご自宅や施設から出にくい方
方式にかかわらず押さえたい2つのポイント
どちらの方式を選ぶ場合でも、遺言の実行役となる遺言執行者を決めておくと、相続開始後の手続きが円滑になります。また、分け方の理由や家族への思いを記す付言事項を添えると、内容への納得感が高まり、もめごとの予防につながるとされています。
税理士の立場から補足すると、遺言の内容次第で相続税の負担や納税資金の準備は大きく変わります。たとえば配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を見据えた分け方になっているか、納税資金に充てられる預貯金や生命保険が確保されているかは、形式の有効性とは別に確認したいポイントです。何から手を付けるか迷っている方は「生前対策は何から始める?60代からの相続準備チェックリスト」もご覧ください。
当事務所のサポート体制
横山千夏税理士事務所は、近鉄奈良駅から徒歩圈の立地で、奈良県全域の生前対策・相続税申告をサポートしています。
税金まで見据えた遺言書づくり
当事務所の遺言書作成サポートでは、財産の棚卸しから、相続税の試算、遺言の内容検討、公証役場とのやり取りまで一緒に進めます。書き方の形式だけでなく、二次相続まで含めた税負担を見据えた内容をご提案できるのが税理士事務所の強みです。
女性税理士による相談しやすい環境
「家族にはまだ話しにくい」というデリケートな内容も、女性税理士・女性スタッフ中心の事務所として、落ち着いてお話しいただける環境を整えています。Zoomを利用したオンライン相談にも対応しており、遠方にお住まいのご家族を交えた打ち合わせも可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. 自筆証書遺言を法務局に預ければ、内容も安心といえますか?
A. 保管制度で確認されるのは形式面のみで、内容の有効性や税負担の妥当性は審査されません。財産の記載漏れやあいまいな表現が残ることもあるため、内容は専門家に確認してもらうことをおすすめします。
Q. 公正証書遺言はいくらかかりますか?
A. 財産額と分け方によって公証人手数料が変わります。2025年10月の改定後は、財産1億円以下の場合に13,000円の遺言加算が加わるとされています。詳しい早見表は当ブログの公正証書遺言の費用の記事をご覧ください。
Q. 一度書いた遺言は書き直せますか?
A. 書き直せます。遺言は後の日付のものが優先されるとされており、自筆から公正証書への切り替えも可能です。財産や家族の状況が変わったときは見直しをおすすめします。
Q. 証人2人はどうやって用意すればよいですか?
A. 推定相続人などの利害関係者は証人になれないとされています。適当な方がいない場合は、公証役場や当事務所にご相談いただければ手配の方法をご案内します。
Q. 遺言書と一緒に相続税の対策もできますか?
A. できます。遺言の内容は相続税の特例の適用や納税資金の準備に直結するため、当事務所では遺言書の作成と相続税の試算をセットでサポートしています。
まずは現状の整理から始めませんか
遺言書は「作ること」自体が目的ではなく、遺されるご家族が迷わず、税負担にも無理のない形で財産を引き継ぐための手段です。自筆か公正証書かの選択も、財産の内容とご家族の状況を整理すれば自然と絞られてきます。
横山千夏税理士事務所では、奈良の皆様の遺言書作成と生前対策を、財産の棚卸しから丁寧にサポートしています。来所でのご相談のほか、オンライン相談やお問い合わせフォームからのご連絡にも対応しております。初回面談(60分)は11,000円(税込)で承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。


