
公正証書遺言の費用はいくら?手数料早見表と作り方の流れ・必要書類|奈良の税理士【2026年】
公正証書遺言の費用はいくら?手数料早見表と作り方の流れ・必要書類|奈良の税理士【2026年】
「遺言書を残しておきたいけれど、公正証書遺言はいくらかかるのか見当がつかない」——奈良市や生駒市で相続のご相談をお受けしていると、費用の話が最初の壁になっている方が少なくありません。
結論からお伝えすると、財産5,000万円を妻と子ども2人に分ける典型的なケースで、公証役場に支払う手数料は8万円前後です。証人や書類の実費を含めても10万円は超えないことがほとんどで、想像より抑えられていると感じる方が多い金額です。
この記事では、2025年10月に改正された最新の公証人手数料をもとに、費用の内訳、計算方法、作成の流れと必要書類を、奈良の横山千夏税理士事務所がご説明いたします。あわせて、税理士だからこそお伝えしたい「遺言と相続税の関係」で見落としやすい点も整理します。
公正証書遺言とは|公証人が作る、無効になりにくい遺言
公正証書遺言は、公証役場で公証人が遺言者の意思を確認しながら作成する遺言書です。民法969条により、証人2人以上の立会いのもとで作られ、原本は公証役場に保管されます。
ご自身で書く自筆証書遺言と比べると、形式の不備で無効になるリスクが小さく、紛失や改ざんの心配もありません。相続開始後に家庭裁判所の検認手続きが不要な点も、ご家族の負担を減らす利点です。自筆証書遺言との違いは、別の記事で改めて整理いたします。
公正証書遺言の費用は3種類に分かれる
費用の全体像を先に押さえておきましょう。
| 区分 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| ① 公証人手数料 | 公証役場に支払う法定の手数料 | 財産額と受取人の数で決まる(後述) |
| ② 実費 | 戸籍・印鑑証明・登記事項証明などの取得費用、証人への謝礼 | 数千円〜2万円程度 |
| ③ 専門家報酬 | 税理士・司法書士・行政書士などに文案作成や手続きを依頼する場合 | 依頼先と内容により異なる |
①は全国一律で、どの公証役場でも同じ金額です。②は自分で動けば抑えられます。③は任意ですが、財産の内容が複雑な場合や相続税が関係する場合には、依頼する価値が出てきます。
公証人手数料の早見表【2025年10月改正後】
公証人手数料は「公証人手数料令」という政令で定められており、2025年10月1日に約20年ぶりに改定されました。改正後の基本手数料は次のとおりです。
| 財産の価額(受取人ごと) | 手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 49,000円 |
1億円を超える部分については、5,000万円ごとに一定額を加算する仕組みになっています。金額が大きい方は、作成予定の公証役場または日本公証人連合会の案内でご確認ください。
計算の最大のポイント|「受取人ごと」に計算して合算する
初めての方が誤解しやすいのがここです。手数料は遺言書全体の財産額で1回計算するのではなく、財産を受け取る人ごとに、その人が受け取る額で計算し、それを合算します。
同じ5,000万円の財産でも、1人に全部渡すのか、3人に分けるのかで手数料が変わるということです。
遺言加算13,000円
遺言の目的となる財産の合計が1億円以下の場合、上記の合算額に13,000円が加算されます。改正前は11,000円でしたが、2025年10月から引き上げられました。1億円を超える場合はこの加算はありません。
計算例|妻と子2人に5,000万円を分ける場合
具体的なケースで計算してみます。
ケース1:妻に3,000万円、長男に1,000万円、長女に1,000万円
| 受取人 | 受取額 | 手数料 |
|---|---|---|
| 妻 | 3,000万円 | 26,000円 |
| 長男 | 1,000万円 | 20,000円 |
| 長女 | 1,000万円 | 20,000円 |
| 遺言加算 | — | 13,000円 |
| 合計 | 79,000円 |
ケース2:妻に5,000万円を全部
| 受取人 | 受取額 | 手数料 |
|---|---|---|
| 妻 | 5,000万円 | 33,000円 |
| 遺言加算 | — | 13,000円 |
| 合計 | 46,000円 |
同じ財産額でも、分け方によって3万円以上の差が出ます。ただし、手数料を抑えるために分け方を変えるのは本末転倒です。分け方は、ご家族の事情と相続税の負担を踏まえて決め、手数料はその結果としてかかるもの、とお考えください。
そのほかにかかる公証役場の費用
基本手数料と遺言加算以外に、次の費用が発生することがあります。
- 正本・謄本の交付手数料:遺言者が受け取る正本や謄本の発行費用です。2025年10月以降、電子データでの交付は1件2,500円、紙での交付は1枚300円とされています。紙で出力した枚数が3枚を超える場合は、超えた1枚ごとに300円が加算されます
- 出張作成の加算:病気や高齢で公証役場に行けない場合、公証人が自宅や病院に出張して作成できます。この場合、手数料が5割増しになるほか、公証人の日当と交通費が別途かかるとされています
- 証人の費用:知人に頼めば謝礼は任意ですが、公証役場に紹介を依頼する場合は1人あたり数千円〜1万円程度が目安です
なお、2025年10月からは公正証書作成のデジタル化も始まり、公証人とウェブ会議で面談して作成する方法も選べるようになりました。ご高齢の方や遠方にお住まいの方の負担が軽くなっています。
実費|必要書類の取得にかかる費用
公正証書遺言の作成には、次の書類が必要になります。取得費用は市区町村や法務局によって多少異なります。
| 書類 | 用途 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 遺言者の印鑑登録証明書 | 本人確認 | 300円前後 |
| 遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本 | 相続人の確認 | 1通450円 |
| 財産を受け取る人の住民票(相続人以外に渡す場合) | 受遺者の特定 | 300円前後 |
| 不動産の登記事項証明書 | 不動産の特定 | 1通600円(オンライン請求は480円) |
| 固定資産評価証明書または納税通知書 | 不動産の評価額の確認 | 300円前後 |
| 預貯金の通帳コピーなど | 金融資産の確認 | — |
| 証人2人の氏名・住所・生年月日・職業のメモ | 証人の特定 | — |
書類の取得は、ご自身でも十分に対応できる範囲です。専門家に依頼する場合でも、この部分だけご自身で集めると費用を抑えられます。
証人になれる人・なれない人
公正証書遺言には証人2人の立会いが必要です。証人には、遺言の内容を知ることになるため、利害関係のない人を選ぶ必要があります。民法974条により、次の人は証人になれません。
- 未成年者
- 推定相続人(遺言者が亡くなったときに相続人になる人)とその配偶者・直系血族
- 財産を受け取る人(受遺者)とその配偶者・直系血族
- 公証人の配偶者・4親等内の親族、公証役場の職員
つまり、配偶者や子ども、その配偶者は証人になれません。友人・知人に頼むか、公証役場に紹介を依頼するか、専門家に依頼する場合はその事務所のスタッフが証人を務めるのが一般的です。
作成の流れ|7ステップ
- 財産と分け方を整理する — 誰に何を渡すかをメモにまとめます。この段階で相続税の見込みを確認しておくと、後から分け方を見直す手戻りを防げます
- 必要書類を集める — 上記の一覧を参考に取得します
- 公証役場に連絡して相談の予約をする — 奈良県内は奈良合同公証役場か高田公証役場です(後述)。メモと書類の写しを渡し、内容を伝えます
- 公証人が文案を作成する — 数日〜2週間程度で案が届きます。内容を確認し、修正があれば伝えます
- 証人2人を確保し、作成日を予約する
- 作成当日、公証役場で内容を確認して署名・押印する — 公証人が読み上げ、遺言者と証人が確認します。所要時間は30分〜1時間程度です。手数料はこの日に支払います
- 正本・謄本を受け取り、保管する — 原本は公証役場が保管します。正本は遺言執行者や信頼できる家族に預けておくと安心です
相談から完成まで、書類が揃っていれば2〜4週間が目安です。
奈良県内の公証役場
奈良県には公証役場が2か所あります。
- 奈良合同公証役場:奈良市大宮町3-4-33 中井ビル3階(近鉄新大宮駅から徒歩圏)
- 高田公証役場:大和高田市大字大中98 おがわビル2階(近鉄大阪線・JR高田駅から徒歩圏)
奈良市・生駒市・大和郡山市の方は奈良合同公証役場、橿原市・大和高田市・葛城市など中南和の方は高田公証役場が近くなります。どちらの公証役場で作っても手数料は同じです。ご自宅に近い方をお選びください。
税理士が伝えたい|遺言を作るときに相続税で見落としやすい3点
公証人は遺言の形式と法的な有効性を確認してくれますが、相続税がいくらになるか、納税資金は足りるかまでは見てくれません。ここが、税理士が遺言書作成に関わる意味です。
1. 配偶者にすべて渡すと、二次相続で税金が増えることがある
配偶者には1億6,000万円までの税額軽減があるため、「妻に全部」とすると一次相続の相続税はゼロになることが多いです。ただし、その財産が次に妻から子へ相続されるときには軽減がなく、トータルの税負担が増えるケースがあります。一次・二次を通して考えた分け方が必要です。
2. 自宅の土地を誰が相続するかで、評価額が最大80%変わる
小規模宅地等の特例は、同居していた配偶者や子が自宅の土地を相続する場合に評価額を最大80%減額できる制度です。遺言で別居の子に自宅を渡すと、この特例が使えず相続税が大きく変わることがあります。特例の概要は「小規模宅地等の特例とは」をご覧ください。
3. 不動産ばかり渡された相続人は、納税資金に困る
相続税は原則として現金一括納付です。遺言で不動産を相続した人に現預金の配分がないと、相続税を払うために不動産を売却せざるを得なくなることがあります。誰にどれだけ現金を残すかは、納税資金の観点でも検討が必要です。
遺言は「分け方を決める」書類ですが、分け方は相続税の額に直結します。作成前に一度、相続税のシミュレーションをしておくことをおすすめします。
専門家に依頼する場合の費用
文案の作成から公証役場との調整、証人の手配までを専門家に依頼する場合、報酬は依頼先によって幅があります。一般的には10万円台から30万円程度が多く、財産が複雑なほど高くなる傾向です。
横山千夏税理士事務所の遺言書作成サポートは、財産の整理・相続税シミュレーション・分け方のご提案・公証役場との調整・証人の立会いまでを含めて、110,000円(税込)〜でお受けしています。財産の総額や内容によって料金が変わりますので、詳しくは相続業務のページをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 公正証書遺言を自分だけで作ることはできますか?
A. できます。ご自身で公証役場に相談し、書類を揃え、証人を確保すれば、専門家を通さずに作成できます。その場合の費用は、公証人手数料と実費のみです。ただし公証人は遺言の内容についてアドバイスはしないため、分け方や相続税の影響はご自身で判断することになります。
Q. 遺言の内容を後から変更したいときの費用は?
A. 新しい公正証書遺言を作り直すのが一般的で、その際は改めて手数料がかかります。一部の変更であれば、変更部分の価額をもとに手数料が計算されます。
Q. 高齢で公証役場まで行けません。
A. 公証人に自宅や病院、施設まで出張してもらえます。手数料は5割増しになり、日当と交通費が別途かかります。2025年10月からはウェブ会議での作成も可能になりましたので、状況に応じて選べます。
Q. 公正証書遺言を作ったら、税務署に何か届け出は必要ですか?
A. 遺言書を作った時点で税務署への届け出は不要です。相続税の申告は、相続が発生してから10か月以内に行います。遺言があると遺産分割協議が不要になるため、申告までの手続きが進めやすくなります。
まとめ
公正証書遺言の費用は、公証人手数料(財産額と受取人の数で決まる)+実費(数千円〜2万円)+専門家に依頼する場合はその報酬、で構成されます。一般的なご家庭であれば、公証役場に支払う分は5万円〜10万円の範囲に収まることがほとんどです。
金額そのものより大切なのは、分け方が相続税と納税資金にどう影響するかを作成前に確認しておくことです。せっかく遺言を残しても、ご家族が納税に困るようでは意味が薄れてしまいます。
遺言書の作成は、相続税とあわせてご相談ください
横山千夏税理士事務所では、女性税理士・女性スタッフが中心となり、ご家族の状況やお気持ちを丁寧にお伺いした上で、相続税のシミュレーションを踏まえた遺言書の作成をサポートしています。奈良県内はもちろん、Zoom等を利用したオンライン相談にも対応しており、離れて暮らすご家族にも同席いただけます。
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