
2026年の年末調整の変更点|基礎控除104万円と「178万円の壁」をやさしく解説
2026年の年末調整の変更点|基礎控除104万円と「178万円の壁」をやさしく解説
今年も年末調整の書類が配られる時期が近づいてきました。2026年(令和8年分)の年末調整は、基礎控除と給与所得控除が大きく引き上げられる、近年まれに見る変化の大きい年です。「書類の書き方が去年と違う」「パートの働き方をどう考えればいいのか」と戸惑う方が増えることが予想されます。
私たち横山千夏税理士事務所は、奈良市の近鉄奈良駅近くに事務所を構え、奈良県内の個人事業主の方や、給与所得と事業所得が両方ある方の税務をサポートしてきました。この記事では、2026年の年末調整で変わるポイントと実務の注意点を、給与を受け取る方の目線でやさしく整理します。
2026年(令和8年分)の年末調整で変わる4つのポイント
2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正により、2026年分の所得税から次の見直しが行われています(2026年10月現在。財務省・国税庁の公表資料にもとづきます)。
① 基礎控除が最大104万円に
基礎控除の本則が58万円から62万円に引き上げられ、さらに令和8年分・令和9年分に限り、所得に応じた特例の上乗せが行われます。合計所得金額489万円以下の方は上乗せが42万円となり、本則とあわせて最大104万円の基礎控除が受けられるとされています。所得がそれを超える方は、段階的に上乗せ額が小さくなります。
② 給与所得控除の最低保障額が74万円に
給与収入が少ない方に適用される給与所得控除の最低保障額が、65万円から74万円に引き上げられます。恒久的な引き上げ分と令和8・9年分の特例分を合わせた金額です。
③ いわゆる「178万円の壁」へ
基礎控除104万円と給与所得控除74万円を合わせると、給与収入が178万円程度までは所得税がかからない計算になります。これまで「103万円の壁」「160万円の壁」と言われてきた所得税の課税ラインが、2026年分はさらに広がる形です。ただしこれは所得税の話で、社会保険の加入基準(いわゆる106万円・130万円の壁)は別の制度である点にご注意ください。
④ 特定親族特別控除と扶養の所得要件
19歳から22歳のお子さまなどを対象とする特定親族特別控除(最高63万円)は、令和7年分から始まった制度で、2026年分も続きます。適用を受けるには、年末調整で専用の申告書を勤務先に提出する必要があります。また、扶養親族などの所得要件も引き上げられ、給与収入のみの場合はおおむね136万円以下が目安とされています。
改正前後の比較表
| 項目 | 令和7年分(2025年) | 令和8年分(2026年) |
|---|---|---|
| 基礎控除(本則) | 58万円 | 62万円 |
| 基礎控除の特例上乗せ | 所得に応じて最大37万円 | 所得489万円以下で42万円(令和8・9年分) |
| 給与所得控除の最低保障 | 65万円 | 74万円 |
| 所得税がかからない給与収入の目安 | 160万円程度 | 178万円程度 |
金額の区分や適用条件は細かく定められており、今後の税制改正で変わる可能性もあります。正確な取り扱いは国税庁の公表資料でご確認ください。
実務での注意点
適用は「2026年12月1日以後に支払う給与」から
今回の改正は、2026年12月1日以後に支払う給与から適用されます。つまり、11月までの毎月の源泉徴収は従来どおりの税額表で行われ、12月の年末調整で1年分をまとめて精算する流れです。控除額が大きく増えるため、例年より還付額が大きくなる方が多いと見込まれます。なお、住民税にこの改正が反映されるのは令和9年度分からです。
年末調整の書類は「どの申告書を出すか」を確認
2026年分は、基礎控除申告書の記載内容が変わるほか、特定親族特別控除の申告書が加わるなど、提出書類の構成が複雑になっています。記載する所得の見積額によって控除額が変わるため、パート収入の年間見込みや、副業がある方はその所得も含めて確認しておきましょう。
たとえば、パート収入が年間120万円の見込みであれば、給与所得控除74万円を差し引いた所得は46万円となり、基礎控除104万円の範囲に収まるため、2026年分の所得税はかからない計算になります。一方、所得の見積りを実際より少なく書いてしまうと、控除額が過大になり、後日の再計算や追加徴収につながることがあります。見積りはできるだけ直近の給与明細をもとに確認しましょう。
従業員を雇っている個人事業主の方は実務の切り替えに注意
ご自身が給与を支払う側である個人事業主や小規模法人の方は、12月支払いの給与から新しい控除額で年末調整を行うことになります。給与計算ソフトの更新時期や、従業員から回収する申告書の種類(特定親族特別控除申告書を含む)を、11月のうちに確認しておくと安心です。
年末調整では精算できない控除もある
次のような控除は年末調整の対象外で、ご自身での確定申告(または別の手続き)が必要です。
- 医療費控除:医療費控除で税金が戻る|対象の費用・申告方法
- ふるさと納税の寄附金控除:ワンストップ特例を使わない場合は確定申告が必要です。ワンストップ特例と確定申告の使い分け
- 住宅ローン控除の1年目:住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要?必要書類と3つの手順(2年目以降は年末調整で手続きできます)
よくある質問(FAQ)
Q. パートの収入はいくらまで所得税がかかりませんか?
A. 2026年分は、基礎控除と給与所得控除の引き上げにより、給与収入178万円程度までは所得税がかからない計算になるとされています。ただし住民税や社会保険の基準は別であり、ご家族の扶養手当の基準も勤務先ごとに異なるため、手取り全体で考えることが大切です。
Q. 大学生の子のアルバイト収入が増えても大丈夫ですか?
A. 令和7年分から特定親族特別控除が設けられ、19〜22歳のお子さまの収入が一定額を超えても、段階的に控除が受けられる仕組みになっています。控除額はお子さまの所得に応じて変わるため、年間収入の見込みを早めに確認しておきましょう。
Q. 11月までの給与で源泉徴収が多めに引かれているのはなぜですか?
A. 改正の適用が2026年12月1日以後に支払う給与からとされているためです。11月までは従来の税額表で源泉徴収され、12月の年末調整で改正後の控除額により精算される流れになります。
Q. 年末調整と確定申告の両方が必要になるのはどんな人ですか?
A. 給与のほかに事業所得や不動産所得がある方、医療費控除や住宅ローン控除1年目の適用を受ける方、2か所以上から給与を受けている方などは、年末調整に加えて確定申告が必要になることがあります。判断に迷う場合は税理士にご相談ください。
まとめ|変化の大きい年だからこそ、見込み違いにご注意を
2026年の年末調整は、基礎控除の上乗せ・給与所得控除の引き上げ・特定親族特別控除と、確認すべき項目が例年より多い年です。所得の見積りを誤ると控除額が変わり、後から修正が必要になることもあります。書類を書く前に、ご自身とご家族の年間収入の見込みを整理しておきましょう。
横山千夏税理士事務所では、年末調整に関連するご相談のほか、確定申告が必要になる方のサポートを承っています。女性税理士と女性スタッフが中心の事務所ですので、デリケートな家計のお話も安心してご相談いただけます。Zoomなどを使ったオンライン相談に対応しており、近鉄奈良駅から徒歩圏内の事務所への来所相談も可能です。奈良で税金のことにお悩みの方は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。


