
決算書と試算表の違いを3分で解説|押さえるのは3つだけ|奈良の税理士
決算書と試算表の違いを3分で解説|押さえるのは3つだけ|奈良の税理士
「銀行から『試算表を出してください』と言われたけれど、決算書と何が違うのか分からない」「毎月どの書類のどの数字を見ればよいのか、いまひとつ自信がない」——奈良市や生駒市、橿原市などで事業を営む個人事業主・中小企業の経営者の方から、当事務所はこうしたご質問をよくいただきます。
結論からお伝えすると、決算書と試算表の違いは作られる時期・目的・数字の確定度の3つだけ押さえれば十分です。この記事では、経理が専門でない方にも3分で読めるように、2つの書類の違いと実務での使い分けを、2026年現在の実務にそってご説明いたします。
結論|決算書と試算表の違いは3つだけ
まず全体像を表で確認しましょう。
| 比較のポイント | 試算表 | 決算書 |
|---|---|---|
| 作られる時期 | 毎月(月次)など、期の途中で随時 | 年1回、決算のとき |
| 目的・提出先 | 社内の経営判断、融資審査の際の補足資料 | 税務申告、銀行・取引先への正式な報告 |
| 数字の確定度 | スピード重視で、概算や未処理を含むことがある | 決算整理を経た確定の数字 |
ひとことで言えば、試算表は日々の帳簿から作られる「途中経過の一覧表」、決算書は1年間の結果を確定させた「正式な成績表」です。どちらが偶いという関係ではなく、役割が異なる書類だと捉えると分かりやすくなります。
試算表とは|毎月受ける「健康診断」のような書類
試算表は、帳簿に記録した取引を勘定科目ごとに集計した一覧表です。多くの会計ソフトでは、損益計算書の形式(売上・経費・利益)と貸借対照表の形式(資産・負債・純資産)で月ごとに出力できます。
試算表の持ち味は、期の途中でも「いま儲かっているのか」「現金は足りているのか」をすぐ確認できることです。毎月の試算表を見る習慣があると、売上の落ち込みや経費の急増といった変化に早く気づけるため、対策を打つ時間を確保できます。健康診断を年に一度ではなく毎月受けているようなもの、とイメージしていただくとよいでしょう。
具体的にどの数字から見ればよいかは、「試算表の見方を3分で解説|初心者でも売上・利益・現金の3つだけ押さえればOK|奈良の税理士」の記事で詳しくご説明しています。
決算書とは|年1回の「確定した成績表」
決算書は、事業年度の終わりに、減価償却や在庫の計上といった決算整理を行ったうえで作成する書類の総称です。法人であれば貸借対照表・損益計算書などの一式が法人税の申告に、個人事業主であれば青色申告決算書(または収支内訳書)が確定申告の土台になります。
期中の試算表と決算書の数字がずれるのは、この決算整理があるためです。たとえば、期中は概算のままにしていた減価償却費を確定させたり、売れ残った在庫を集計して売上原価を調整したりすることで、利益の金額が試算表の見込みから動くことがあります。
決算書の数字は税務署へ申告する確定値であり、銀行の融資審査でも最も重視される書類の一つとされています。言い換えると、期中にどれだけ丁寧に試算表を作っていても、対外的な「正式な顔」になるのは決算書です。だからこそ、決算を迎えてから慌てるのではなく、期中の試算表の段階で数字を整えておくことが大切になります。
実務での使い分け|よくある3つの場面
場面1: 銀行融資を申し込むとき
融資の審査では決算書の提出が基本ですが、決算から時間がたっている場合には、直近の試算表もあわせて求められることが一般的です。「決算のあと業績がどう動いているか」を見るためで、月次の試算表を整えている会社は、この場面でスムーズに対応できます。
場面2: 毎月の経営判断
日々の値決めや経費の使い方を判断する材料は、年1回の決算書では間に合いません。月次の試算表で売上・利益・現金の動きを確認するのが実務の基本です。経費に入れてよいか迷う支出がある場合は、「個人事業主の経費はどこまでOK?グレーゾーンの判断基準を奈良の税理士が解説」の記事も参考になさってください。
場面3: 納税資金と決算対策の検討
決算月が近づいたら、試算表で利益の着地見込みを立て、納税額のめどをつけます。決算対策の多くは決算日を過ぎてからでは選択肢が限られるため、決算月の2〜3か月前に試算表で見通しを立てるのが目安とされています。
試算表が「ない」とどうなるか
逆に、月次の試算表がない状態を想像してみてください。融資を相談したときに「直近の数字を見せてください」と言われてから慌てて帳簿を整え、提出まで数週間かかってしまう。申告の直前に1年分をまとめて入力し、思いがけない利益額と納税額を知って資金繰りに追われる。当事務所にご相談いただく前の状況として、実際によくあるお話です。


