
損益計算書の見方を3分で解説|初心者は3つの利益だけ|奈良の税理士
損益計算書の見方を3分で解説|初心者は3つの利益だけ|奈良の税理士
「決算書を渡されても、損益計算書のどこを見ればよいのかわからない」「利益がいくつも並んでいて混乱する」——奈良で個人事業主や中小企業の経営者の方とお話ししていると、こうした声をよくお聞きします。
損益計算書は、1年間(または1ヶ月)の「もうけの成績表」です。数字が細かく並んでいるため難しく見えますが、初心者の方が経営判断に使うなら、見るべきは3つの利益だけ。この記事では、簿記の知識がない方でも3分で読めるように、損益計算書の構造と3つの利益の見方、よくある誤解までを整理します。私たち横山千夏税理士事務所が、日々の顧問業務でお客様にお伝えしている実務目線のポイントです。
損益計算書とは?決算書のなかでの位置づけ
損益計算書は、一定期間の収益(売上など)から費用を差し引いて、いくらもうかったかを示す書類です。決算書(財務諸表)は主に「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュ・フロー計算書(または資金繰り表)」で構成され、損益計算書はその中で「もうけ」を担当しています。
「決算のときにしか見ない」という方も多いのですが、会計ソフトを使っていれば月次でも出力できます。毎月の試算表とあわせて見る習慣をつけると、経営の変化に早く気づけます。決算書と試算表の関係は決算書と試算表の違いを3分で解説|押さえるのは3つだけ|奈良の税理士で解説しています。
損益計算書は上から下へ、売上高から費用を段階的に差し引いていく構造になっています。売上高から始まり、売上総利益 → 営業利益 → 経常利益 → 税引前当期純利益 → 当期純利益と、5つの利益が順番に登場します。段階ごとに「何を引いた結果か」が違うだけなので、構造さえつかめば暗記は不要です。
初心者が見るべき3つの利益
損益計算書には5つの利益が並びますが、日々の経営判断でまず見るべきは次の3つです。
| 利益の名前 | 計算式 | 何がわかるか |
|---|---|---|
| 売上総利益(粗利) | 売上高 − 売上原価 | 商品・サービスそのものの稼ぐ力 |
| 営業利益 | 売上総利益 − 販売費及び一般管理費 | 本業のもうけ |
| 経常利益 | 営業利益 ± 営業外の収益・費用 | 会社全体の実力(利息などを含む) |
1つめ: 売上総利益(粗利)——商売の土台
売上から仕入や外注費などの原価を引いた金額です。ここが薄いと、その後どれだけ経費を切り詰めても利益は残りません。粗利率(売上総利益÷売上高)を毎月同じ基準で見て、「先月より下がっていないか」「値上げや原価の見直しが必要か」を判断します。
2つめ: 営業利益——本業のもうけ
粗利から、家賃・人件費・広告費などの販売費及び一般管理費を引いた金額です。ここが赤字なら、本業の収益構造そのものに手を入れる必要があります。逆に営業利益が出ているのに手元のお金が増えない場合は、利益と資金繰りのずれを疑います(後述)。
営業利益を改善する打ち手は、大きく「粗利を増やす(値決め・原価)」か「販管費を見直す(固定費)」の2方向しかありません。どちらに原因があるかを切り分けるためにも、売上総利益と営業利益は毎月セットで確認することをおすすめします。
3つめ: 経常利益——会社全体の実力
営業利益に、受取利息や支払利息など本業以外の損益を加減した金額です。借入金の多い会社では、営業利益が黒字でも支払利息で経常利益が細ることがあります。金融機関が融資審査で重視するのもこの経常利益とされており、「外から見た会社の成績」と考えるとわかりやすい数字です。
なお、残りの2つ(税引前当期純利益・当期純利益)は、不動産の売却損益のような臨時の損益や税金を反映した「最終結果」です。決算のときに確認すれば十分です。
損益計算書でよくある3つの誤解
- 「利益が出ている=お金がある」ではない
- 売掛金の入金前でも売上は計上されるため、黒字でも手元資金が不足することがあります
- たとえば掛け売り中心の事業では、損益計算書が黒字でも、入金は2ヶ月後・支払いは当月ということが起こります。「黒字なのに苦しい」と感じたら、まずこのずれを確認します
- お金の動きは資金繰り表の作り方を3分で解説|初心者は3つの数字だけ|奈良の税理士で別途確認します
- 当期純利益だけを見てしまう
- 最終利益は臨時の損益で大きく動きます。本業の調子は営業利益で判断します
- 費用をどこに入れても同じだと思ってしまう


