
相続税の配偶者控除とは?1.6億円が無税になる条件と二次相続の注意点
相続税の配偶者控除とは?1.6億円が無税になる条件と二次相続の注意点
「夫が亡くなったが、妻には相続税がかからないと聞いた」——このように耳にされたことのある方は多いのではないでしょうか。その根拠となっているのが、相続税の配偶者控除(正式名称:配偶者の税額軽減)という制度です。うまく使えば配偶者が取得した財産に相続税がかからないケースもありますが、一方で「使い方を誤ると、かえって家族全体の税負担が増える」という落とし穴もあるとされています。
奈良で相続のご相談を受ける横山千夏税理士事務所では、女性税理士・女性スタッフが、ご主人を亡くされた奥さまからのご相談に数多く向き合ってきました。この記事では、2026年現在の制度をもとに、配偶者控除の仕組みと適用条件、そして見落とされがちな二次相続の注意点を、専門用語をかみくだいて解説します。配偶者控除は金額の大きさばかりが注目されがちですが、正しく使うには適用の条件と、その後の相続まで見通した判断が欠かせません。「制度があるから大丈夫」と安心しきってしまう前に、押さえておきたい基本を確認していきましょう。
配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは
配偶者の税額軽減とは、被相続人(亡くなった方)の配偶者が相続などで取得した財産のうち、次のいずれか多い金額までは相続税がかからないという制度です(2026年現在)。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
つまり、配偶者が取得した遺産が1億6,000万円以下であれば、相続税は課されないことになります。また、遺産がそれ以上でも、法定相続分(配偶者と子が相続人の場合は2分の1)までであれば税額が生じない仕組みです。多くのご家庭では、この枠内におさまり、配偶者の相続税が実質ゼロになるケースが少なくないとされています。
この制度は、夫婦が長年ともに築いてきた財産であることや、残された配偶者のその後の生活保障といった趣旨から設けられているものです。
配偶者控除を受けるための条件
配偶者控除は自動的に適用されるわけではなく、いくつかの要件を満たす必要があります。特に重要なのが次の2点です。
- 相続税の申告書を提出すること
配偶者控除を使った結果として納税額が0円になる場合でも、相続税の申告そのものは必要とされています。「税額がゼロだから申告しなくてよい」と誤解して申告を怠ると、控除が受けられない事態になりかねません。ここは特に注意したいポイントです。
- 遺産分割が確定していること
配偶者の税額軽減は、配偶者が「実際に取得した財産」を基に計算されます。そのため、相続税の申告期限(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割が終わっていない財産は、原則として対象になりません。
ただし、申告期限までに分割が間に合わない場合でも、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておけば、申告期限から3年以内に分割したときに、あらためて配偶者控除を適用できるとされています。分割協議が長引きそうなときは、この書類の添付を忘れないことが大切です。
見落としがちな「二次相続」の注意点
配偶者控除は非常に大きな制度ですが、目先の相続税を抑えることだけを考えて配偶者にすべての財産を集中させると、次の相続で不利になることがあります。これがいわゆる二次相続の問題です。
たとえば、お父さまが亡くなった一次相続で配偶者控除を最大限使い、お母さまがほとんどの財産を相続したとします。その後、お母さま自身が亡くなる二次相続では、配偶者控除は使えません。しかも相続人が子だけになり基礎控除額も下がるため、一次・二次を通算すると、かえって家族全体の相続税が増えてしまうこともあるとされています。実際、一次相続で配偶者がどの財産をどれだけ取得するかによって、二次相続まで通算した税額は大きく変わることもあるといわれています。目先の税額だけで判断しないことが、家族全体の負担を抑えるうえで大切です。
そのため実務では、一次相続の段階で「二次相続まで見据えて、配偶者と子がどの財産をどれだけ取得するか」を試算することが重要になります。どの分け方が家族全体にとって有利かは、財産の内容や金額、ご家族の状況によって変わります。相続税の基礎控除の考え方については相続税はいくらからかかる?基礎控除の仕組みと奈良で課税される目安も、あわせてご覧ください。
自宅がある場合は他の制度との組み合わせも
配偶者が自宅を相続する場合には、一定の要件を満たせば土地の評価額を大きく下げられる小規模宅地等の特例とは|自宅の相続税評価を抑えられる条件をわかりやすくという制度と組み合わせられることもあります。複数の制度をどう適用するかで最終的な税額が変わってくるため、全体を見て判断することが望まれます。
また、そもそも誰がどの財産を相続するかという遺産分割は、税額だけでなくご家族の納得感にも関わる大切なプロセスです。遺産の分け方で悩んだら… 妻と子どもの法定相続分と円満な遺産分割の進め方も参考になさってください。
なお、ここで解説した内容は2026年現在の税制に基づくものです。相続税の制度は今後の税制改正によって取扱いが変わる可能性がありますので、実際に手続きを進める際は、最新の情報をご確認いただくか、税理士にご相談ください。
奈良で相続税のご相談は横山千夏税理士事務所へ
配偶者控除は「使えば必ず得」という単純な制度ではなく、二次相続まで含めた全体設計が欠かせません。とはいえ、大切なご家族を亡くされたばかりの時期に、複雑な試算をご自身で行うのは負担が大きいものです。
横山千夏税理士事務所は、近鉄奈良駅から徒歩圈内に事務所を構え、奈良市をはじめ奈良県全域・関西エリアの相続に対応しています。女性税理士・女性スタッフが、税額の試算から遺産分割のご提案、申告書の作成までを一貫してサポートいたします。
遠方にお住まいのご家族や、外出が難しい方にはオンライン相談も承っております。ご来所でのご相談、オンラインでのご相談、いずれもお選びいただけますので、まずは当事務所のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。奈良の相続を、女性ならではのきめ細やかな視点でお手伝いいたします。


