
マンションの相続税評価の計算3ステップ|区分所有補正率とは【2026年】
マンションの相続税評価の計算3ステップ|区分所有補正率とは【2026年】
「親が残してくれた奈良市内のマンション、相続税ではいくらの評価になるの?」「タワーマンション節税が規制されたと聞いたけれど、普通の分譲マンションにも関係ある?」——マンションをお持ちのご家庭から、こうしたご相談が増えています。
分譲マンションの相続税評価は、2024年1月1日以後の相続・贈与から新しいルール(居住用の区分所有財産の評価)が適用されており、多くのマンションで従来より評価額が上がる方向の見直しとなりました。2026年現在もこのルールが継続しています。
この記事では、マンション一室の相続税評価額がどう計算されるのかを3ステップで整理し、新ルールの鍵となる区分所有補正率の考え方、評価が上がりやすいマンションの特徴までを解説します。
なぜルールが変わった?改正の背景
かつての分譲マンションの相続税評価は、市場価格との差が大きくなりやすい仕組みでした。国税庁の資料によると、区分所有マンションでは市場価格が相続税評価額の平均2倍を超える乖離が確認されており、とくに高層階の物件ほど差が大きい傾向がありました。この差を利用した、いわゆるタワーマンション節税が問題視され、評価方法の見直しにつながったとされています。
新ルールでは、市場価格との乖離が大きいマンションについて、評価額を市場価格のおおむね6割水準まで引き上げる補正が行われます。これは一戸建ての評価水準(市場価格の6割程度とされています)に合わせる考え方です。
マンションの相続税評価額の計算3ステップ
分譲マンション一室(居住用の区分所有財産)の評価は、次の3ステップで進みます。
ステップ1|従来どおりの評価額を計算する
マンション一室の評価は、建物部分と土地部分(敷地利用権)に分けて計算します。
| 部分 | 計算のもとになるもの |
|---|---|
| 建物(区分所有権) | 固定資産税評価額(毎年届く課税明細書で確認できます) |
| 土地(敷地利用権) | マンション全体の敷地の評価額 × 自分の持分割合(路線価方式または倍率方式) |
路線価の調べ方は2026年分の路線価の見方|奈良の土地は相続税でいくらに評価される?を、路線価がない地域の計算は路線価がない土地の相続税評価|倍率方式の計算3ステップをご覧ください。
ステップ2|評価乖離率と評価水準を求める
次に、そのマンションが市場価格とどれだけ離れているかの目安となる評価乖離率を計算します。評価乖離率は、次の4つの要素から機械的に算出されるとされています。
- 築年数(古いほど乖離が小さくなる方向)
- 総階数(高層の建物ほど乖離が大きくなる方向)
- 所在階(高い階ほど乖離が大きくなる方向)
- 敷地持分狭小度(部屋の広さに対して土地の持分が小さいほど乖離が大きくなる方向)
計算式そのものは複雑ですが、国税庁が公表している「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」や計算ツールに、登記簿の情報を当てはめれば算出できる仕組みになっています。そして評価乖離率の逆数が評価水準(従来の評価額が市場価格のどの程度かを示す割合)です。
ステップ3|区分所有補正率を掛ける
評価水準に応じて、ステップ1で計算した建物・土地それぞれの評価額に区分所有補正率を掛けます。
| 評価水準 | 補正の内容 |
|---|---|
| 0.6未満 | 評価乖離率×0.6 を掛けて評価額を引き上げる(市場価格の6割水準へ) |
| 0.6以上1以下 | 補正なし(従来の評価額のまま) |
| 1超 | 評価乖離率を掛けて評価額を引き下げる |
つまり、従来の評価額が市場価格の6割に届かないマンションは評価額が上がり、逆に市場価格を上回る評価になっていたマンションは下がる、という双方向の調整です。
評価額が上がりやすいマンション・対象外のケース
上がりやすいのは「新しい・高層・高い階」
築年数が浅く、総階数が多く、所在階が高いマンションほど評価乖離率が大きくなりやすく、補正で評価額が上がる傾向があります。都市部のタワーマンションが典型ですが、奈良県内や大阪近郊の一般的なファミリーマンションでも、築浅の物件では補正がかかるケースは珍しくありません。「タワーマンションだけの話」と思い込まず、実際に計算して確認することが大切です。
新ルールの対象にならない主なケース
次のような不動産は、この補正の対象外とされています。
- 総階数2階以下の低層の集合住宅
- 区分所有登記されていない一棟の賃貸マンション・アパート
- 事業用のオフィスや店舗の区分所有物件(居住用でないもの)
対象外の場合は従来どおりの方法で評価しますが、一棟の賃貸物件には貸家・貸家建付地の評価減など別の論点があり、判断の分かれ目が多い領域です。
見落としやすい3つの注意点
-
賃貸中のマンションは補正後にさらに評価減がある 相続したマンションを他人に貸していた場合、区分所有補正率を適用した後の評価額から、貸家・貸家建付地としての減額を行う順序とされています。適用の順番を誤ると評価額が変わってしまうため注意が必要です。
-
小規模宅地等の特例との併用を忘れない 亡くなった方が住んでいたマンションであれば、敷地利用権の部分に小規模宅地等の特例を適用できる場合があります。補正で評価額が上がっても、特例の要件を満たせば負担を大きく抑えられる可能性があります。要件の確認は小規模宅地等の特例とは|自宅の相続税評価を抑えられる条件をわかりやすくをご覧ください。
-
申告が必要かどうかの判断が変わることがある 評価額が上がった結果、遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えて、これまでの感覚では申告不要と思っていたご家庭でも申告が必要になるケースが出ています。マンションをお持ちの方は、早めに概算を確認しておくと安心です。目安は相続税はいくらからかかる?基礎控除の仕組みと奈良で課税される目安で解説しています。
横山千夏税理士事務所のサポート
私たち横山千夏税理士事務所は、奈良市の近鉄奈良駅すぐの場所で、相続税申告と生前対策を専門的にサポートしています。
マンションの評価は、登記簿・固定資産税課税明細書・路線価図といった資料の読み取りから、補正率の計算、賃貸や特例との組み合わせまで、確認事項が多岐にわたります。当事務所では、女性税理士・女性スタッフが中心となって資料の集め方から丁寧にご案内し、遠方にお住まいの相続人の方にはZoomなどによるオンライン相談でご対応しています。「まだ相続は先だが、マンションの評価額だけ知っておきたい」という生前対策段階のご相談も承っています。
よくある質問(FAQ)
Q. 新ルールはいつの相続から適用されていますか?
A. 2024年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した分譲マンションから適用されているとされています。2026年現在に発生した相続は新ルールでの評価となります。
Q. 自分のマンションの評価乖離率は、どうすれば分かりますか?
A. 登記簿に記載された築年数・総階数・所在階・敷地権の割合などの情報を、国税庁の計算明細書やツールに当てはめて算出します。登記情報の読み取りに不安がある場合は、資料をお持ちいただければ当事務所で確認いたします。
Q. 中古で築40年のマンションでも評価額は上がりますか?
A. 築年数が古いほど乖離は小さくなる傾向があり、補正がかからない(評価水準0.6以上)ケースも多くあります。ただし立地や階数によって結果は変わるため、実際の計算による確認をおすすめします。
Q. 生前にマンションを贈与する場合も新ルールですか?
A. はい。相続だけでなく、2024年1月1日以後の贈与にも同じ評価方法が適用されるとされています。暦年贈与や相続時精算課税を使う場合も、新ルールでの評価額をもとに贈与税を計算します。
Q. マンション節税はもうできないのでしょうか?
A. 評価額と市場価格の差は以前より縮まりましたが、賃貸による評価減や小規模宅地等の特例など、制度の趣旨に沿った負担軽減の方法は残っています。個々の状況によって有効な選択肢が異なるため、全体設計のご相談をおすすめします。
まとめ|マンションの評価は「計算してみないと分からない」時代に
2024年からの新ルールにより、分譲マンションの相続税評価は、築年数・総階数・所在階・敷地持分という4つの要素で補正の有無が決まる仕組みになりました。評価額が上がる物件も下がる物件もあり、思い込みで判断せず実際に計算することが、申告漏れや払いすぎを防ぐ第一歩です。
横山千夏税理士事務所では、マンションを含む相続財産の評価から相続税申告、生前対策までを一貫してサポートしています。オンライン相談、または近鉄奈良駅すぐの事務所での来所相談からお気軽にお問い合わせください。
※税制改正等により内容が変更される可能性があります。実際の申告にあたっては、国税庁の最新情報または当事務所までご確認ください。


